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《蓄音器の音》聴きませんか – 百万の人々よ、互いに抱き合え、全世界の接吻を受けよ! 《第9》の第4楽章を聴く

学校で教師からクラシック音楽のレコードを聴かされた時には、馴染めないというのか不慣れな音楽に違和感を感じて以来クラシック音楽を遠ざけてきたけれども、この会で少しずつ聴かせて貰うことで面白いと思うようになりました。その説明が楽しいからかもしれません。

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レコードをかけて、解説をすることの嬉しい冥利はそう言われるところにある。クラシック音楽の通の人、レコードを良く親しんでいる人からすれば、至極当然な情報を変に平板な言葉で説明するだけ。そう思われるのも致し方のないこと。

しかし、それではレコードの解説を読んで聴かせるだけならコピーを手渡すだけで良いと思っています。参加者は最初から揃って聴いてくれるわけではない、第2部の歌謡曲を楽しみにしているので少し遅れても大丈夫、そういう声が耳に届く時もある。苦々しい時だ。

これまで何度か揺さぶりをかけた時もありました。事前の解説なしに開始早々レコードの再生から試みてみたり、準備中の家にその日は予定にないレコード面を再生してみたり。

会での持ち時間は70分。開会前の会長の挨拶やら、通達事項、交通機関の都合で集客が少なく開始を遅らせることもあるので60分にレコード再生と解説が納まるように準備しています。今回は《第9》の第1楽章と第4楽章を聴いて貰いたかったので、12インチ盤9面とぎりぎりになった。盤を裏返したり、針を交換したり、蓄音器のゼンマイを巻き上げるのをそれぞれの面で行うのが45秒最低でも必要です。

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土曜日と、金曜日に本文を併載したものは資料として準備したものです。これをもとに説明する段取りではありましたが、会が始まって参加者の顔ぶれ、様子を見て即座に説明をしています。今回も資料については、表面をなぞった程度でアドリブで通しました。

第1楽章、4面が15分。第4楽章、5面が20分。解説は最初に15分。途中で10分とベストな配分で終了できました。事前に新発見の情報やら、ニュースが入ったり、説明したいことが盛りだくさんな時もあるので散漫になりがち、《第9》は毎年取り上げるからと言うのがあるからか話したいことは半分でとどめました。

さて、日曜日のコンサートの第4楽章ですが、ピッチが高いのはワインガルトナーの意図です。それを知っていて聴くのと知らないでは違うもので、復刻LP、CDは誤解もされているんでは無いかと思います。

昭和10年の録音時、マイクの性能は今に及ぶものでは無かったでしょう。低音はざっくり無いのでコントラバスやチェロの代わりにチューバ、ファゴットを補強して録音していた時代。ワインガルトナーはウィーン・フィルの編成を崩さないために全体の音程を高めに取ったのでは無いでしょうか。

マトリックス:HAX 72-3A; HAX 73-2; HAX 74-1; HAX 75-2; HAX 76-2A